日常の暮らしの中で、地名について考えることなど、ほとんどない。どの地名にも、歴史的な意味や由来があるのはわかっているが、学校の文化祭で郷土の歴史を発表する、などの幸運がなければ、地名事典を手に取ることもない。一般人にとって、地名は単なる符号であり、便宜上の記号にすぎないのだ。 地味でマニアックで読みこなすには歴史的素養が必要らしい「地名の本」。それが、「江戸」という魔法の呪文をかけただけで、想像力、知的好奇心を刺激する本になった。徳川家康の関東移封から、城下町の建設、首都としての機能整備、そして巨大都市へ。聞き覚えのある地名の数々が、「江戸」の町の膨張、崩壊の歴史に組み込まれていく。 将軍のお茶用に使われた名泉があった「お茶の水」、織田有楽斎の屋敷と南町奉行所で知られた「有楽町」、家康とゆかりの深い摂州佃村の住民が移住して将軍用の白魚を取った「佃島」。ここらあたりは学校で習った歴史のおさらいだが、おもしろいのは武蔵野、東の郊外部の記述だ。「生類憐みの令」で巨大な犬小屋が設けられ「囲」とい字名が残った「中野」とか、1年を通して花樹に恵まれ、「日が暮れるのも忘れる」と江戸っ子を喜ばせた「日暮里」など、江戸城を中心とした「大江戸」の広がりが浮かび上がってくる。 データ満載、切り口も豊富。惜しむらくは、江戸っ子の描写に、もうちょっと“粋さ”が欲しかったが…。(長井好弘)
地名から探し出す江戸時代
通常は地名と住所というのは一致するものの、東京は戦後幾たびも町名の改変があり、旧地名が道路や橋の名称、あるいは駅名、学校名などに残って大都会東京の地理を更にややこしいものにしています。
この本は第一部では江戸の町の誕生と変遷が、第二部では地名の由来が個々に説明がされています。自分のなじみのある場所はそういう所だったのかと納得したり、読んでみて訪れたくなる場所もありました。
著者が大学教授ということもあるのか、文体がやや固く、面白おかしく一気に読ませるという感じではなかったのが残念です。(誰のために、どのように書くかは著者の勝手ではありますが、もう少し柔らかいほうがより多くの方が楽しめたのではないかと思います。)
この本では地名そのものを江戸の制度や生活と結びつける視点ですが、現在の東京の代表的なスポットはどういう変遷をたどってそうなったのかという視点(現在からどんどん過去をたどっていく方法)もおもしろいのではないかと思います。
江戸の歴史も分かる
この本を読んで、子供の頃を思い出した。区画整理のため、調整地が大小いくつかあった。それらは遊び場として開放されていた。それぞれを区別するのに公民館前とか自分たちで遊び場の名称を決めていた。江戸の地名もこのようにして決まっていった。この本は、それだけではない。江戸の歴史も併せて説明しているのでさらに分かりやすい。古文が読めない私には原文の引用は邪魔であった。
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駅名で読む江戸・東京 (PHP新書) 続 駅名で読む江戸・東京 (PHP新書) 東京を江戸の古地図で歩く本 坂の町・江戸東京を歩く (PHP新書) 江戸はこうして造られた―幻の百年を復原する (ちくま学芸文庫)
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